▼樹齢20年
除夜の鐘を撞きに行きました。
実家の近所のお寺でお経をあげ、除夜の鐘をついて帰ってくるのがここ数年の恒例になっています。
副住職さんがお作りになったチキンスープで暖を取りながら、境内で焚き火にあたり、鐘撞き前の法要を待ちます。
「この木は樹齢何年ですか?」
10歳くらいの男の子が焚き火に当たるおじさんに尋ねます。
「樹齢かぁ…何年かねぇ。サヤちゃーん、このモミの木は樹齢何年やったか?」
鐘の近くで手持ち無沙汰にしていた中学生のお寺の娘さんと思しき子は適当にあしらいます。
「そがんと知るワケなかたい!」
「なんや、知らんのか。そうだなぁ…実はな、この木はそこにおるおばちゃんが産まれたときに植樹した(嘘)とさ。ってことは樹齢何年や?」
尋ねた少年に聞き返します。
(20年って言え、20年って言え・・・)
少年の兄は耳元で社会の生き抜き方を囁きます。
「20年くらい・・・?」
「そういうことたい」
戸惑いの入り混じる少年の声とおじさんの冗談に、地方に置き忘れてきたものがあるような気がしました。
▼郵便○○○
あなたが思い浮かべたのは
[A]でしょうか、[B]でしょうか?
(画像割愛)
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昨日、在宅勤務中にインターホンが鳴りました。
そこにはてんぱった感じの郵便配達員が映ります。
「すみません、郵便を差し入れたらポストが壊れてしまいまして・・・」
配達だとばかり思ったので、状況が即座に飲み込めません。
一旦冷静に状況を確認します。
「ポストというのは、差出箱ではなく郵便受けのことですよね・・・?」
同じ"ポスト"という言葉ですが、
[B]は"郵便受け"と言いますが、[A]は言いませんよね。
逆に[A]は郵便法第38条*1で言及されているように"郵便差出箱"という
呼称が法律上充てられており、[B]は当然そうは呼びません。
相手はプロなので、当然その違いが通じます。
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郵便差出箱については、その側面に配されている
銘板にて、実際にそう呼称されていることを容易に観察できます。
(ちなみに、今一番メジャーなメーカーは山崎産業で、
それ以外だったら少し運が良いです)
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[その他、郵便法周りの気づきメモ]
・郵便法第70条にその制定と総務大臣の認可が規定されている、
日本郵政(株)の「郵便業務管理規程」はweb上では確認できなかった。
なので、そこに郵便差出箱の規格に関する規定があるかどうかわからない。
・もともと郵便業が開始された明治4年は、郵便差出箱に相当する物を
「書状集箱(しょじょうあつめばこ)」と呼んでいた*2。
・お年玉付郵便葉書は「お年玉付郵便葉書等に関する法律」により
法的にきちんと定めがある。
・「お年玉付郵便葉書等に関する法律」の第3条の見出しは
(お年玉等の交付等)であり、「お年玉」という言葉が
(お年玉付郵便葉書といった、一体となった固有名詞ではなく独立に)
法律上に出現する。
・刑法上の犯罪である「賭博及び富くじに関する罪」について、
違法性阻却により合法であることが法的に規定されているもののうち、
現金以外を対象とするものについては、風営法、景表法以外に
「お年玉付郵便葉書等に関する法律」も該当する。
*1:第三十八条(郵便差出箱の設置) 郵便差出箱は、会社が設置する。ただし、会社の承認を受けて会社以外の者が設置することを妨げない。
*2:https://www.postalmuseum.jp/publication/description/docs/kaisetsu_syojyouatsume.pdf
▼なんでいつもリレーは4人なの?
陸上も、水泳も、リレーをするときはいつも4人ですよね。
なんで4人なんでしょうか?
3人でもいいし、5人でもいいんじゃない?
4×100mに対して3×400mでもいいのに、400mも律儀に4人で走る。
水泳だってリレーは4人だ。メドレーリレーも自由形のリレーも。
なんで??
先日、区民プールで泳いでいてふと思いました。
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陸上競技と競泳の歴史をさかのぼってみると、
競技の規格化の負荷の違いからなんとなく想像つくように
陸上競技の方が歴史が古いようです。
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これも想像がつくように、バケツリレー方式で、
次から次へものを運ぶ、言葉を伝える、
という方式自体はずっと昔からあり、
たとえば、spaiaというサイトの記事には
聖な火を儀礼や祭礼に運ぶための方法として行われたものと、
政府が重要な情報を全国各地に早く伝えるために
行ってきたものという2つの系譜があった
とあります。
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しかしながら、意外にも陸上競技として
現在の形に近い「リレー」が生み出されたのは1893年と比較的最近だそうです。
トラックシーズンの開幕は春、
大学の陸上部では冬季シーズンに如何に目標を立てて
協調して取り組むかが課題の中、
ペンシルベニア大のエリスとゲイエリンの2人は、
アメリカの東西を結ぶ馬車の駅伝方式に着想を得て、
4人で合計1マイル(≒1.6km)走る「リレー競技」を考案します。
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ここからは推測ですが、
確かに1マイルくらいなら見る長さとして丁度いい、
そして1マイルを分割するなら4人か5人くらいでないと
短距離の幅をはみ出て厳しい距離になってしまう、
すると4人くらいが妥当となるのは自然な成り行きにも思えます。
ここから発展し、近代オリンピックの
リレー競技に繋がったそうです。
ざっくりいうと、私の想像では、
「ちょうど1マイルを割り当てやすい人数だったから」
という理屈のように思います。
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なお、踏み入りませんでしたが、
競泳の歴史としては、競技に採用された順として
平泳ぎ(当時は自由形)→背泳ぎ→クロール→バタフライ
だそうです。
どくしょ:牟田郁子『文にあたる』亜紀書房
皆さんお馴染みの「豪ドル」。
2018年の10月に発行された新50豪ドル札に
スペルミスがあったことをご存知ですか?
なんと、気付かれることなく、発行、
そして流通してしまいました。
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世の中の誤植を探すのが好きなのですが、
この豪ドル札の誤植は、ここ5年のなかでもっともお気に入りです。
というのも、ただでさえ間違えてはいけないお札のスペルなのに、
よりによって間違えた単語が「責任」という皮肉―
"responsibility(責任)"の下線部のiを脱字してしまいました。
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世の中には校正というお仕事がありますね。
誤字脱字衍字などの誤植のチェック(校閲作業)や
記載内容に事実誤認や不正確なものがないかの確認を
行う仕事です。
一口に校正といっても、
それが雑誌なのか、小説なのか、ノンフィクションなのか、
でも違うし、
企業のチラシの記載内容や約款に誤植や論理的な不備がないか
などを探す、商業校正というものもあります。
紙幣の構成はおそらく商業校正の最たるものですよね。
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そんな校正の世界ですが、もっとも専門性の高い校正とは
どんな分野だと思いますか?
実はレシピなんだそうです。
なぜにレシピ?と思ったそこのあなた、
本屋で以下の本を手に取ってみてください。
参考:
▽アントニン(・レオポルド|)・ド(ボ|ヴォ)ル?(ザ|ジャ)[ーッ]ク
アントニン・ドヴォルジャーク(1841年9月8日 - 1904年5月1日)は
後期ロマン派を代表するチェコの作曲家で、
私の好きなクラシック音楽の作曲家の1人です。
ドヴォルジャークはちょうど大卒の新人の子くらいですね。
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日本では、
と~おき~♪や~まに~♪ひ~はお~ちて♪
という歌詞で、そして「(遠き山に日は落ちて|家路)」という
タイトルの愛唱歌として、
よく知られている曲がありますね。
これはドヴォルジャークの交響曲第9番「新世界(より|から|)」の
第2楽章のメロディが元になっているものです。
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曲もさることながら、私がドヴォルジャークを好きな理由の
一つは、「表記ゆれ」が多いことです。
まず、名前の時点で、少なくともウィキペディアでは
アントニン・レオポルド・ドヴォルザーク
この記事の項目名には以下のような表記揺れがあります。
として、たくさんのヴァリエーションが提示されています。
先の「家路」も、日本では「遠き山に日は落ちて」と「家路」で
どちらを題名と取るかにブレ*1があります。
この下となっている曲の副題も、
一番メジャーなのは「新世界より」ですが、
NHKのららら♪クラシックでもそうなっているように「新世界から」、
あるいは単に「新世界」と表記*2されることもあります。
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主にプログラミング言語などで、
表記ゆれ等を込めて文字列の検索するときに便利な規格に
「正規表現」というものがあります。
例えば、「ドボルジャーク」か「ドヴォルジャーク」を検索したければ、
検索ワードを「ド(ボ|ヴォ)ルジャーク」という具合に設定すればよく、
とても効率的に表現ができます。
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ということで、以上、
「ハンガリー舞曲」で有名なブラームス*3により才能を見出された、
アントニン(・レオポルド|)・ド(ボ|ヴォ)ル?(ザ|ジャ)[ーッ]クの紹介でした。
▽売上が無くなっても研究は無くならない
東北大学の理学部・工学部などのキャンパスは、
切り拓いた土地に所在しています。
熊がたびたび出没し、熊鈴が学部から貸し出されるほどの山にあります。
幸いにも、私が在学中に出くわしたのは鹿のみです。
東北大学のHPによると、
戦前は、旧日本陸軍の演習用地として使用されていましたが、
終戦後は米軍の演習場として接収され、
接収解除後は開拓地として開墾事業が行われていました。
とあります。
学部4年以降、また、大学院に進学すると、
どうしても研究に集中してしまい、時間を忘れる時があります。
そんな中でありがたい存在がコンビニです。
在学中の途中に新しくセブンイレブンができました。
しかし、それより前から、そしてセブンイレブンよりも
営業時間の長いありがたい存在が、
工学部のキャンパスの奥地にある年中無休、24時間営業の
デイリーヤマザキでした。
実は24時間営業のデイリーヤマザキができたきっかけがあります。
2005年に工学部の学生が交通事故で亡くなりました。
それが、卒業論文を執筆しており、夜間に山を下りて買い出しへ
出かけていた際の出来事だったためです。
そんなデイリーヤマザキが閉店することとなりました。
コロナによる売り上げ減のためです。
しかしながら、売上が無くなっても、
研究も、深夜にカップ麺を買いに行った記憶も、
これからも無くなることはないでしょう。