日々の暮らしと時々の数学

くだらないチラ裏スペース。時々数学のことを書く。

log[10]2>0.301023も手計算できる

今回は、以前求めた{\displaystyle \log_{10}{2}<\frac{28}{93}}について、
その誤差を評価してみよう。

それによって、

{\displaystyle 0.301023<\log_{10}2<\frac{28}{93}=0.301075\cdots}

を導く。

そのためには、{\displaystyle 1.024^{10}<1.28}という評価がどれくらいの精度かを
見る必要がある。


そこでまず、{1.266<1.024^{10}<1.28}を示そう。
二項展開を途中で切ることにより、
{\displaystyle 1.024^{10}>1+0.24+45\cdot 0.024^2+120\cdot 0.024^3}
{>1.24+0.02592+100\cdot 0.01^3}
{>1.24+0.0259+0.0001=1.266}
となる。
(2次の項はうまくやる必要がある。
{24^2=576}くらいは知っておきたい。
{24\cdot 25=600}だから{24^2}は600に24足りないし、
{25^2}は600から25余る。
そして、
{576\cdot 45=288\cdot 9 \cdot 10=28800-2880=25920}とした。)

よって、{1.28-1.024^{10}<0.014}が従う。


次回以降に{\ln{2}>0.6928}であることを手計算で得る過程は回し、
今回はこれを認めることにする。
すると、{\displaystyle \ln{10}=\frac{\ln{2}}{\log_{10}{2}}>\frac{0.6928}{0.30108}>2.3}となるから、
(最後の不等式の計算は簡単。分母を払って計算する。)
平均値の定理を使って(あるいはlogの凸性を用いて)、
{\displaystyle \frac{28}{93}-\log_{10}{2}=\frac{1}{93}(\log_{10}1.28-\log_{10}1.024^{10})}
{\displaystyle <\frac{1.28-1.024^{10}}{93\cdot 1.024^{10}\cdot \ln{10}}}
{\displaystyle <\frac{0.014}{93\cdot 1.266\cdot 2.3}}
{\displaystyle <\frac{0.014}{117.5\cdot 2.3}}
{\displaystyle <\frac{0.014}{270}=0.0000518518\cdots <0.000052}

このとき、{\displaystyle \log_{10}{2}<\frac{28}{93}=0.301075\cdots}と筆算を
頑張ると計算できるから、
{\displaystyle \log_{10}{2}>\frac{28}{93}-0.000052>0.301023}
が得られる。



以前、
{\displaystyle \frac{28}{93}-\log_{10}{2}<\frac{1}{22088}+3\cdot 10^{-10}=0.00004527\cdots+3\cdot 10^{-10}}
ということに言及した。
いまは、{\displaystyle \frac{28}{93}-\log_{10}{2}<0.000052}なので、
なかなか手計算ではよい評価を得られたことになる。

実際は、
{1.28-1.024^{10}=0.12349\cdots}なので、
これが区間の評価に直接的に掛かっていて、これの問題が大きい。
つまり、分母の精度をあげても、
{93\cdot\ln{10}\cdot 1.024^{10}<271.46}なので、
高々{\displaystyle 0.014\cdot\frac{1.46}{270\cdot 271.46}}程しか減らない。
例えば分母だけぴったり計算できたとしても、平均値で出てくる
値を1.28で上から押えた値を使うと
{\displaystyle \frac{0.014}{93\cdot 1.28\cdot \ln{10}}=0.00005107\cdots}
であって、減らしすぎたとしてもこの値が出てくるから
下6桁目が全然減らない。

よって、これ以上評価を正確にしたいなら{1.024^{10}}をより
精度高く見積もることを求められる。