日々の暮らしと時々の数学

くだらないチラ裏スペース。時々数学のことを書く。

すーがく

メビウスの反転公式と3つの応用

過去の記事 br-h2gk.hatenablog.com に、この定理のクラシカルな証明はメビウスの反転公式をつかう、 と書いてあった。実を言うとメビウスの反転公式を用いた経験がないため、 これを見て調べるまで、内容と証明を知らなかった。しかし、調べてみると非常に…

有限体F_2,F_4,F_8,F_16の構造決定

前回の予告通り、について述べる。 タイトルの通り、に関しては構造に踏み込むが、 は生成元の満たす最小多項式を1つ求める程度にする。 はそこそこ例として出てきやすいが、 はあまり見ないので、これを一番詳しく紹介する。また、アルティン=シュライヤー…

有限体上の既約多項式の数

いろいろあって有限体を見ていたら、 Wikipediaの既約多項式のページを見ていたら、 その有限体上の既約多項式の数についての項目があった。それは ◆定理◆ 有限体上の次のモニックな既約多項式の数は、 で与えられる。ただし、はメビウス関数である。 という…

2べきの数と3べきの数は隣接するか?

過去の記事で、自然対数log(2)を計算した。 br-h2gk.hatenablog.com そのときの2つめの方法について、キーポイントとなっていたのは、 2と3と5のみを素因数にもつ連続する2数の組を考えることだった。もし、これがもっともっと大きい数で見つかるなら、 より…

導関数が不連続なものとは?(その2)

今回は前回に引き続き、導関数が不連続になってしまう 場合について考えよう。前回は、導関数が不連続なら、それはその点の近傍の 左右のいずれかで振動しているしかない、ということが分かった。また、その例としてという典型的なものを考えた。 さて、この…

導関数が不連続なものとは?(その1)

直感的には正しそうな問題 ◆問題1◆ Uを上の空でない開集合として、を任意にとる。 関数がの近傍で微分可能で、 導関数がの近傍でを除き連続だと分かっている。 このとき、導関数はでも連続だろうか。 を考えよう。実は、この答えはNoである。 例は 実数全…

ln(2)の下5桁を手計算しよう(その2)

前回の命題を用いると ◆評価4◆ で 誤差は未満 が得られる。まず、自分の中での「手計算できる」の基準をはっきりしておく。 基本的に積は3桁同士まで、商も割る数は極力3桁以内。 ただし、152000のように、本質的に計算量がそれらと変わらないものは除く。…

ln(2)を手計算で近似しよう(その1)

今回は常用対数ではなく自然対数を手計算で近似してみよう。 次の2種類の近似をする。計算しやすい評価として ◆評価1◆ を得る。また後々計算できる範囲で項を増やして調節していく。下4桁のレベル(以下切り捨て)で計算したとすると、前者は であり、後者は …

log[10]2>0.301023も手計算できる

今回は、以前求めたについて、 その誤差を評価してみよう。それによって、 を導く。そのためには、という評価がどれくらいの精度かを 見る必要がある。

中線定理の拡張

次のような問題を考える。 ◆問題◆ において内接円周上に任意の点をとった時、 各頂点までの距離の平方和が一定である。 このとき、この三角形はどのような三角形か。 これについて、別件で初等幾何の問題を考えている時に遭遇していたので、 次が有用である…

数学的な3倍角の公式の覚え方はチェビシェフがいい

いつも、3倍角の公式がいまいち覚えられない。 確認するまでもないが、3倍角の公式は次である: ◆3倍角の公式◆ これがいつもどこの係数が3でどこが4か、 正負の符号どっちがどっちか分からなくなってしまう。これを論理的に思い出せる方法を考える。たとえば…

東大07文系第3問を改めてみると

今日本屋に行ったら、 『東大の入試問題で「数学的センス」が身につく』とかいう 胡散臭い感じのタイトルの本があったから手に取ってみた。ぱっと開いたときに目に入った問題が 07文系第3問だった。 問題の細かいところははしょっている。 ◆問題◆ 自然数に…

(1+1/x)^xの単調性について

(1+1/x)^xを微分を使わずに単調性を証明する。 目的は、 を得ることである。 そのため指数対数の微分を使いたくない。この極限は、n=[x](ガウス記号)を用いれば一致が 示せるので、それでいいじゃないか、という話であるが、 (1+1/n)^nは有界単調列という論…

log[10]2<28/93は手計算できる

やっぱりやふーぶろぐからチラシの裏スペースを移動。 アイキャッチ画像の調節に手間取って何回も同じ記事投稿している。 どこかで何回も表示されていたら嫌だなぁ。が成立することを手計算で示そう。ここでは ◆自作問題◆ を証明せよ。 を考えてみる。